株式会社プリミティブ・ドライブ

2023.08.08

AMA夢草日記『ちいさな山裾の田んぼの中にメダカとすんでいます』No.01

プロフィール

AMA夢草

AMA夢草日記『ちいさな山裾の田んぼの中にメダカとすんでいます』No.01

住まいの縁側に当たるところ、ほかの家との間に細い路地がある。

 

日が当たるのは午後3時頃。
夢草にとっては、家から眺められる自然である。
ここにはすぐに雑草が生える。

 

たんぽぽとかスミレ、菊などの野草。
一部を残して我が庭にした。
訪ねてくるのは、すずめ、かえる、ムカデ、蝶、ほかに名も知れない昆虫たち。
ただおもしろいのは、蚊が少ない。

 

雨上がり、散歩でもと考えたが、また雨が降り出すと思うと
部屋の中の整理でもしようと、縁側のガラス戸を開けた。

 

気持ちの良い風が吹き込んできた瞬間、
黒い蝶が踊るように部屋に入ってきた。

 

天井から入口まで飛び回ったあと、
デスクの蛍光灯にとまった。

蝶だと思っていたそれは、トンボだった。
黒づくめで尾が青い「オハグロ」。

天井にとまったかと思うと、あっという間に窓へうつり
やがて外に出ていった。

一時して庭を覗いたら、
狭い路地の雑草に3匹のオハグロが遊んでいるではないか。

 

たんぽぽの傍にある小石にとまり、
尾を真っすぐにして羽を閉じ、開き、また閉じる。

周囲を踊るように飛び、5分くらいの短い時間であったが
貴重な体験であった。
これまでオハグロをまともに見たことがなかったからだ。
よく蜻蛉と間違えたりした。

 

ついこないだ、トンボ取りに夢中になったのは
70年前の子供のころだった。

 

赤とんぼ、塩から、オニヤンマは子供たちに人気のトンボ。
オハグロというと、珍しい、怖い、変なトンボの印象しかなかった。

 

大人になってからは、仕事よりも遊びが好きな仲間のことを
「極楽とんぼ」と呼んだりもした。

その友人は定年前に東京に転勤し
それから連絡がとれなくなった。
7年前のことである。
定年を過ぎているはずなのに、東京でも福岡でも
連絡も居場所も消えたのだ。

 

オハグロトンボを調べてみた。
メジャーではないが好ましい名前が付けられていた。
全国に生息しているが、自然の緩やかな流れの小川、
低山地、田んぼ、きれいな水があるところも生息。

 

蝶のようにひらりひらりと舞うように飛ぶ。
水辺の石や植物にとまり縄張りを作るという。

 

ふ化から成長まで数週間、陽の当たらないところで育つ。
地域によっては絶滅危惧種、
またさまざまなネーミングが付けられている。

 

・神様トンボ
田んぼを守ることから、金運や運に恵まれるとされる
・勝虫
どんな相手にも逃げない、益虫であることから
・仏トンボ
羽を開閉する仕草が仏を拝む姿に似ている
・オハグロ
平安時代の上流婦人が歯を黒く染めた風習から

 

部屋に飛び込んできたトンボの運にのって、
友人の事をお祈りした。
「AMA夢草」の路地に現れたら友人の事を尋ねてみようと思う。
バカな事を聞いたら「極楽とんぼはお前のことだ」と笑われるだろうか。

 

 

 

 

 

 

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